XREAL Air(旧Nreal Air)は初心者向けARグラスか?:PC接続、動画視聴、初期費用、AR酔いを正直レビュー
XREAL Air (旧Nreal Air) とはどのようなデバイスか
近年、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術が注目を集めていますが、中でもARグラスは比較的新しい形のデバイスとして登場しています。XREAL Air(旧Nreal Air)は、メガネのような形状をした軽量なARグラスで、主に外付けディスプレイとしての利用を想定しています。スマートフォンやPCと接続することで、目の前に大画面の映像を表示させることができる点が大きな特徴です。
従来のVRヘッドセットのように視界すべてを覆うのではなく、レンズを通して現実世界が見えたまま、その上に仮想的な映像を重ねて表示します。これにより、周囲の状況を把握しながら利用できるため、自宅のリビングやカフェ、移動中の新幹線など、様々な場所での利用が考えられます。
このデバイスがVR/AR初心者にとってどのような体験をもたらすのか、そして購入前に知っておくべきことは何か、正直なレビューをお届けします。
XREAL Airを使ってみた正直レビュー
XREAL Airを実際に使用してみて感じた良い点と課題点、そして初心者が気になる点について解説します。
良い点(メリット)
まず特筆すべきは、その軽量さと携帯性の高さです。見た目はやや大きいサングラス程度であり、折りたたんで付属のケースに入れれば簡単に持ち運べます。カフェなどでPC作業をする際に使用してみましたが、周囲の視線をそこまで気にすることなく利用できました。
そして最大のメリットは、目の前に広がる大画面の体験です。スマートフォンで映画を見る場合や、PCの小さな画面で作業する場合と比較して、はるかに迫力のある映像や広々とした作業空間が得られます。特に動画コンテンツの視聴においては、手軽にパーソナルシアターのような環境を作れる点が魅力です。PCと接続して仮想的に複数のディスプレイを表示させる機能もあり、作業効率向上にもつながる可能性を感じました。
また、周囲の状況が見えるため、VRヘッドセットのような閉塞感がなく、安心して使用できます。これは、VR酔いが不安な方にとっても大きなメリットと言えるでしょう。
課題や不満点(デメリット)
一方で、いくつかの課題も感じられました。最も大きなハードルとなるのは、利用するための前提条件です。XREAL Air単体では機能せず、DisplayPort Alternate Mode(DP Alt Mode)に対応したUSB Type-Cポートを持つスマートフォンやPCが必要です。多くのAndroidスマートフォンや最新のPCは対応していますが、iPhoneユーザーの場合は専用のアダプター(XREAL Adapter for iPhoneなど)が必須となり、追加の出費が発生します。また、より高度なAR機能や仮想マルチディスプレイ機能を利用するには、別売りのXREAL Beamのような専用デバイスが必要になる場合もあります。
表示される画面の視野角も、想像していたよりは限定的でした。目の前に大きなディスプレイがある感覚は得られますが、視界全体を覆うような没入感はありません。これはARグラスの性質上仕方ない部分でもありますが、VRヘッドセットのような体験を期待すると物足りなく感じる可能性があります。画面の端の方にわずかな歪みを感じることもありました。
AR機能についても、現状は特定のアプリや機能に限定されており、VRのような自由なインタラクションやゲーム体験は期待できません。あくまで「現実空間に映像を重ねて表示する」というレベルが中心となります。
初心者の懸念に対する回答
デバイス選び: XREAL Air自体のモデルは比較的シンプルですが、重要なのは「接続するデバイス」の選定です。お持ちのスマートフォンやPCがDP Alt Modeに対応しているか、対応していない場合は必要なアダプターがいくらかかるかを確認することが最初のステップです。これにより、追加購入が必要かどうかが明確になります。
初期投資: XREAL Air本体の価格に加えて、必要であればアダプター代、そして対応するスマートフォンやPCを持っていない場合はそれらの購入費用も考慮に入れる必要があります。総額を把握し、主に動画視聴やPC作業での大画面体験に、その投資額が見合うと感じられるかどうかが判断のポイントになります。本格的なVRゲームなどを求める場合は、VRヘッドセットの方が適しているかもしれません。
コンテンツ: 主な利用シーンは、対応するスマートフォンの画面を拡張して動画を見る、Webブラウジングをする、PCの外部ディスプレイとして作業するなどです。専用のARアプリもありますが、数はまだ限定的で、VRのような多様なゲームやソーシャル体験は期待できません。用途が明確な方(例: 移動中に大画面で映画を見たい、カフェでPC作業を効率化したい)に向いています。
AR酔い: VRヘッドセットと比較すると、ARグラスは周囲の現実世界が見えているため、酔いにくい傾向にあります。私自身の体験でも、長時間の使用でもほとんどAR酔いを感じることはありませんでした。ただし、乗り物の中での使用や、映像が激しく動くコンテンツを視聴した場合は、人によっては酔う可能性もゼロではありません。
XREAL Airはこんな初心者におすすめ
XREAL Airは、以下のようなVR/AR初心者の方におすすめできる可能性があります。
- VRヘッドセットの閉塞感や酔いが不安で、まずは手軽にAR体験をしてみたい方。
- 主に動画視聴やPC作業を、より大きな画面で行いたいと考えている方。
- スマートフォンやPCの画面を、場所を選ばずにパーソナルな大画面として利用したい方。
- すでに対応するスマートフォンやPCを持っている方。
逆に、本格的な没入感のあるVRゲームをしたい方や、複雑な設定や追加のアダプター購入を避けたい方には、他のデバイスや体験の方が適しているかもしれません。
始めるにあたっては、XREAL Air本体に加え、前述の通り対応するスマートフォンやPC、必要に応じてアダプターが必要です。メガネを使用している方は、専用の度付きレンズを作成できるフレームが付属しているため、そちらを眼鏡店に持ち込んで作製する必要があります。
AR酔い対策としては、まずは短時間から使用を開始し、体調に合わせて利用時間を調整することをおすすめします。また、酔いやすい乗り物の中などでの長時間の利用は避ける方が無難です。
まとめ
XREAL Air(旧Nreal Air)は、メガネ型の軽量ARグラスとして、手軽に大画面の映像を持ち運べる点が魅力的なデバイスです。特に動画視聴やPCの外部ディスプレイとしての利用において、そのメリットを最大限に活かせます。VRのような完全に没入する体験とは異なりますが、現実世界と融合した形で利用できるため、様々なシーンでの活用が期待できます。
ただし、利用には対応するデバイスが必要であり、アダプターの購入も検討すると初期投資額も考慮に入れる必要があります。ご自身の主な利用目的や、現在お使いのデバイスとの互換性をしっかりと確認した上で検討することが重要です。「持ち運べるパーソナル大画面」に価値を見出す方にとって、XREAL AirはVR/ARへの入り口として面白い選択肢の一つとなるでしょう。