ARグラスで仕事効率化は可能？：リモートワークに使えるアプリの正直レビューと初期費用
ARグラスは仕事に使えるのか？ リモートワークでの可能性
近年、ARグラスと呼ばれるデバイスが登場し、私たちの生活に新たな可能性をもたらし始めています。エンターテインメントでの活用が注目される一方で、「これを仕事に使えるのだろうか」「リモートワークで効率化できるのだろうか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、ARグラスをリモートワーク環境で実際に使用し、仕事効率化を目的としたアプリケーションを試した経験に基づき、その現状と可能性について正直なレビューをお届けします。特に、これからAR/VRに関心を持つ初心者の方が、ARグラスの仕事での利用について理解を深め、導入を検討する際の参考となる情報を提供することを目指します。
ARグラスを仕事で使ってみた正直レビュー
今回は、PCと接続して仮想ディスプレイを表示したり、簡単なARアプリを利用できるタイプのARグラスを使用し、リモートワーク環境で試用しました。主に、複数ウィンドウを表示して作業する、資料を参照しながら別の作業を行う、といった用途を想定して試しました。
良かった点（メリット）
まず、最も大きなメリットとして感じたのは、物理的なディスプレイの制約から解放される点です。ARグラスを通して仮想的に複数の大画面ディスプレイを目の前に表示できるため、物理的な机のスペースを占有することなく、広大な作業空間を確保できます。これは、ノートPCの小さな画面だけで作業している場合や、複数のディスプレイを置くスペースがない環境では特に有効だと感じました。資料を横に表示しながら、メインの作業を行うといったことが、現実の視界と重ねてスムーズに行えます。
また、特定のARグラスやアプリでは、現実の空間にウィンドウやオブジェクトを固定して表示できます。これにより、例えば常に参照したい情報を目の前の空中に表示させておき、必要に応じて現実世界でメモを取るといった、現実とデジタルの情報を自然に行き来する作業が可能になります。これは従来のPC作業では難しかった、新しい作業スタイルと言えます。
課題や不満点（デメリット）
一方で、現状ではいくつかの課題も感じられました。最も顕著なのは、解像度とテキストの視認性です。仮想ディスプレイは理論上、非常に大きく表示できますが、ARグラスの解像度や光学系の特性により、PCディスプレイと同等のシャープさでテキストを表示することは難しい場合があります。特に細かい文字や、長時間集中してドキュメントを読む作業には、まだ改善の余地があると感じました。
次に、対応アプリケーションの少なさが挙げられます。現状、ARグラス向けに最適化された仕事効率化アプリは限られており、PC上の既存アプリケーションをAR空間で快適に利用するための環境も、まだ発展途上です。単にPC画面をミラーリングする機能は多くのARグラスで利用できますが、ARグラスならではの利点を活かせるアプリケーションはこれからの登場が期待されます。
また、装着感とバッテリー持ちも考慮すべき点です。ARグラスはメガネのように装着しますが、デバイスによってはある程度の重量があり、長時間の装着で鼻や耳が疲れる可能性があります。また、バッテリー内蔵型の場合は使用時間に制限があり、外部給電が必要な場合もあります。一日中装着して仕事をする、というレベルにはまだ達していない製品が多いのが現状です。
AR酔いについて
AR体験においても、VR酔いと同様にAR酔いが発生する可能性があります。ARグラスの場合、現実の視界にデジタル情報を重ねて表示するため、VRほど強い没入感による酔いは起こりにくい傾向がありますが、それでも注意が必要です。
特に、表示されたウィンドウが体の動きに追随しない場合や、奥行き感を伴うコンテンツを長時間見続ける場合、またはレンズの歪みや表示の遅延がある場合にAR酔いを誘発することがあります。私の体験では、静止画を表示している分には問題ありませんでしたが、動画を表示したり、AR空間内でウィンドウを頻繁に動かしたりすると、軽いめまいを感じることがありました。これは個人差が大きいため、試用できる機会があれば確認することをおすすめします。
初心者へのアドバイス
これからARグラスを仕事で利用することを検討しているVR/AR初心者の会社員の方（ペルソナ：田中健太氏のような方）へ、いくつかの practical なアドバイスをさせていただきます。
現状での仕事利用の適性
結論から申し上げますと、現状のARグラスをメインの仕事道具として全面的に導入するには、まだいくつかのハードルがあります。特に、テキストを長時間読む作業が多い方や、高解像度での作業が必須な職種の方には、物理的なディスプレイの方が適していると言えます。
しかし、特定の用途においては、ARグラスの導入を検討する価値は十分にあります。 例えば、 * 移動中や出張先で、限られたスペースでマルチタスクを行いたい場合 * 常に特定の情報を目の前に表示しておきたい作業がある場合 * 新しいテクノロジーに関心があり、いち早く体験してみたい場合
といったケースでは、現状のARグラスでも恩恵を受けられる可能性があります。ただし、あくまでPCやスマートフォンの補助的なツールとして捉えるのが現実的でしょう。
始めるにあたって必要なもの
ARグラスを仕事で利用する場合、主に以下のものが必要になります。
- ARグラス本体: PC接続型、スタンドアローン型など、用途や予算に合わせたモデルを選択します。仕事で使う場合、PC接続や外部入力に対応したモデルが多いです。
- 対応するPCまたはスマートフォン: ARグラスの機能や性能を最大限に引き出すためには、ARグラスが要求するスペックを満たすPCやスマートフォンが必要です。特に仮想ディスプレイ機能を利用する場合は、DisplayPort Alternate Modeに対応したUSB Type-Cポートなどが必要になる場合があります。
- 対応アプリケーション: 利用したい機能（仮想ディスプレイ、特定のARアプリなど）に対応したソフトウェアやアプリケーションが必要です。
- 安定した作業環境: ARグラスのセンサーが正確に機能するためには、明るすぎず暗すぎない、比較的シンプルな環境が望ましいです。
初期投資について
ARグラスの価格帯は幅広く、数万円台から数十万円するモデルまで存在します。仕事での利用を想定した機能を持つモデルは、現状では比較的高価な部類に入ることが多いです。初期投資としては、安価なモデルでも5万円以上、ある程度の性能を求める場合は10万円以上を想定しておく必要があります。これは、従来のPCディスプレイを購入する場合と比較して、まだ高額であると言えます。初期投資に見合うかどうかは、ARグラスで実現したい具体的な用途と、それによって得られる効率化効果を慎重に検討する必要があります。
AR酔い対策
AR酔いを軽減するためには、以下の点を試してみてください。
- 短時間の利用から始める: 最初は数十分程度の利用にとどめ、徐々に慣らしていくのが良いでしょう。
- 休憩を挟む: 長時間連続して使用せず、定期的に休憩を取ることが重要です。
- 明るさの調整: AR表示の明るさを調整することで、現実の視界とのバランスを取り、目の疲れや酔いを軽減できる場合があります。
- 体調管理: 睡眠不足や疲労時など、体調が万全でない時は酔いやすくなるため、使用を控えるなどの配慮が必要です。
まとめ
ARグラスのリモートワークでの仕事利用は、まだ黎明期にあると言えます。物理的なディスプレイの制約から解放されるなど、生産性向上に繋がる可能性を秘めている一方で、解像度、対応アプリ、装着感といった課題も現状では無視できません。
したがって、現状のARグラスは、万人に推奨できる仕事ツールというよりは、新しい働き方を模索するアーリーアダプターや、特定のニッチな用途において大きなメリットを享受できる可能性があるツールと言えるでしょう。
もし、ARグラスを使ったリモートワークや仕事効率化に興味をお持ちであれば、まずは対応するデバイスやアプリケーションについて情報収集を進め、可能であれば家電量販店などで実際に短時間試用してみることをお勧めします。技術の進化は速いため、今後より高性能で使いやすいARグラスが登場し、仕事のスタイルが大きく変わる可能性も十分に考えられます。